SUSTAINABILITYサステナビリティ

TCFD提言に基づく情報開示

当社は、「サステナビリティ基本方針」を定め、その基本方針のもと、「サステナビリティ推進委員会」を設置し、TCFDのフレームワークに基づいたシナリオ分析を行っております。具体的には、気候変動に関するリスク・機会の特定・評価及びそれらへの対応策検討、取り組みの進捗確認などを行っております。より一層の社会課題解決への寄与と事業経営の透明性の向上のため、当社の事業に影響を及ぼす気候変動に関するリスク・機会について、TCFDのフレームワークに基づいた定性的な分析に関する情報開示を行います。

サステナビリティ基本方針

当社グループは、核となるリユース事業を通じた循環型社会構築への貢献、社会との共生と新たな価値の提供、そして多様性を持つ組織による持続的成長を目指し、お客様・従業員・取引先・株主等の多様なステークホルダーの期待に応える信頼性の高い経営を実現します。

ガバナンス

当社グループは、事業活動を通じた気候変動をはじめとする社会課題解決への寄与と長期的な企業価値の向上を目指しております。当社グループにおいては気候変動を重大な経営課題のひとつとして認識しており、気候変動対応をはじめとするサステナビリティ推進のための活動方針の策定やその推進を行う「サステナビリティ推進委員会」を設置しております。

サステナビリティ推進委員会は取締役経営企画室長を委員長とし、総務室長、経営企画室担当スタッフ、店舗開発室などの関連部門スタッフで構成されております。

サステナビリティ推進委員会は原則として年6回(2か月に1回)開催されます。サステナビリティ推進委員会で審議・決定された内容は、定期的に取締役会に報告され 、重要課題については取締役会にて審議されます。取締役会での審議内容はサステナビリティ推進委員会を通じて、当社グループの各部署に連携されます。

◼️ サステナビリティ推進体制図

サステナビリティ推進体制図

戦略

将来世界において、気候変動に起因する事象が当社の事業活動にどのような影響をもたらすのかを検討するため、当社のリユース事業を対象に2030年時点を想定したシナリオ分析を実施しました。(2024年4月実施)

戦略 戦略

シナリオ分析では、脱炭素社会を目指した厳しい政策・法規制が実施されることを前提とした1.5℃シナリオ(一部2℃シナリオも併用)と、現在の政策の延長線上にある4℃シナリオの2つの異なる温度帯のシナリオを用いております。

対象範囲:リユース事業
項目 4℃シナリオ 1.5℃シナリオ(2℃シナリオ)
シナリオの時間軸 2030年
主な参考シナリオ IEA Stated Policies Scenario
IPCC RCP8.5
IEA Net Zero Emission by 2050 Scenario
IEA Sustainable Development Scenario
IEA Announced Pledges Scenario
IPCC RCP2.6
シナリオの世界観 世界平均気温が2100年において、産業革命期ごろと比較して約4℃上昇すると予測するシナリオ。異常気象の激甚化などの物理的な被害が想定されている 世界平均気温が2100年において、産業革命期ごろと比較して約1.5℃未満上昇すると予測するシナリオ。脱炭素化に向けてより野心的な政策規制や技術革新が進むと想定されている

◼️ 想定されたリスク・機会一覧

シナリオ分析の結果、下記リスク・機会が想定されました。短期、中期及び長期にわたり当社グループの経営方針や経営戦略等に影響を与える可能性がある気候変動に関するリスク・機会とそれらに対処するための取り組みを記載しております。

主なリスクとして、4℃シナリオでは異常気象の激甚化によるサプライチェーンの寸断や、店舗の被災による売上の減少が主なリスクとして想定されました。また、1.5℃シナリオでは、カーボンプライシングなどの政策規制により電力価格が高騰し、操業コストが増加することが想定されました。

一方、機会として、1.5℃シナリオにおいて脱炭素社会への移行に伴う「リユース事業」の需要増加が想定されました。

◼️ リスク・機会一覧表

リスク項目 事業インパクト 評価
(2030年時点)
大分類 中分類 小分類 顕在時期 分析 4℃ 1.5℃
リスク 移行 カーボンプライシング 中期~長期 炭素税や排出権取引の導入により、操業コストが増加する。 -
プラスチック規制 中期~長期 商品に使用する緩衝材、包装材への規制強化により、代替品対応によるコストが増加する。 -
再エネ政策 中期~長期 再エネ導入が必要となり、操業コストが増加する。 -
省エネ政策 中期~長期 ZEB化など省エネ政策の強化により、店舗やオフィスの賃料が増加する。 -
エネルギーコストの変化 短期~長期 再エネ需要の増加により電力価格が上昇することから、操業コストが増加する。
循環型社会への移行 中期~長期 環境に配慮した事業や排出削減への取り組みが不十分であった場合、顧客からの信用低下による売上の減少や資金調達のコストが増加する。 -
物理 異常気象の激甚化 短期~長期
  • 拠点・従業員の被災による営業停止から収益が減少する。
  • サプライチェーンの被災による物流の寸断により収益が減少する。
平均気温の上昇 短期~長期
  • 拠点での空調使用による操業コストが増加する。
  • 冬物衣料やウィンター用品などの需要が低下し、収益が減少する。
降水・気象パターンの変化 中期~長期 降水量の増加や天候不順による外出頻度低下により、店舗への来客数が減少し、収益が減少する。
機会項目 事業インパクト 評価
(2030年時点)
大分類 中分類 小分類 顕在時期 分析 4℃ 1.5℃
機会 移行 顧客行動変化 中期~長期 エシカル志向のニーズに対応した「リユース事業」の需要が増加し、収益が増加する。 -
循環型社会への移行 中期~長期 環境配慮・環境情報開示が適切に行われた場合、資金調達コストが減少する。 -
物理 平均気温の上昇 短期~長期 夏物衣料や空調家電など暑さ対策の商品の収益が増加する。
降水・気象パターンの変化 中期~長期 降水量の増加や天候不順による外出頻度低下により、ECサイト利用者が増えることで収益が増加する。
想定される影響度 定義
事業および財務に極めて大きな影響を及ぼすと想定される
事業および財務に大きな影響を及ぼすと想定される
事業および財務に影響を及ぼすと想定される
- 事業および財務に直接的な影響を及ぼさないと想定される
顕在時期 定義
短期 現在~3年
中期 3~10年
長期 10年~

◼️ 特定したリスク・機会への対応

気候変動に関するリスクへの対応に加え、気候変動によりもたらされる社会の変化に対応し、事業機会の拡大を目指します。なお、上記リスク・機会へのこれまでの取り組みと今後の取り組み方針は以下となります。

これまでの取り組み
カーボンプライシング リスク
  • LED照明の導入
  • 既存LED照明の改修(一部店舗)
省エネ政策 リスク
エネルギーコストの変化 リスク
平均気温の上昇 リスク
  • 省エネエアコンの導入
プラスチック規制 リスク
  • 梱包資材をプラスチックから紙素材へ変更
循環型社会への移行 機会
  • リユース事業の拡大
今後の取り組み方針
プラスチック規制 リスク
  • プラスチック梱包材などの使用量低減
カーボンプライシング リスク
  • LED照明や省エネエアコンなどの省エネ設備の拡大
省エネ政策 リスク
エネルギーコストの変化 リスク
循環型社会への移行 リスク・機会
  • 環境情報開示の拡大
  • リユース事業の拡大
異常気象の激甚化 リスク
  • 店舗や物流センターの分散・広域化
  • リモートワーク体制の継続的な整備
  • BCPの継続的な整備
平均気温の上昇 リスク・機会
  • 冬物衣料などの需要が低下すると想定されるため、衣料品以外の商品カテゴリーの強化
降水・気象パターンの変化 リスク・機会
  • 店舗への来客が減少すると想定されるため、買取・販売チャネルの分散・多様化

今後は、これまでの取り組みの強化や新たな取り組みを実施することにより、どちらのシナリオとなった場合でも事業活動が継続できるよう、より強靭な経営体制の構築を図ってまいります。

リスク管理

当社では気候変動に関するリスク・機会について、サステナビリティ推進委員会にて特定・評価を行っております。

気候変動に関するリスク・機会の特定には、将来的にどのような影響が自社にもたらされるかを特定するシナリオ分析を行っております。シナリオ分析では、IEA(国際エネルギー機関)や官公庁が発行するレポート及び将来予測値を参考にしております。

また、気候変動に関するリスクについては、サステナビリティ推進委員会と連携する内部統制委員会において、事業活動全体のリスクとあわせて評価を行っております。

内部統制委員会で審議されたリスク管理の状況は取締役会に報告され、リスクの共有を図るとともに、リスクの低減に努めてまいります。

◼️ リスク管理体制図

戦略

指標及び目標

当社は、重要な指標として事業活動に伴うCO2排出量の算定に取り組んでおり、現在、開示可能な指標は、CO2排出量(Scope1,2)の単体の実績となります。

◼️ CO2排出量(Scope1,2)の単体実績

  単位 2022年 2023年 2024年
CO2排出量 Scope1 t-CO2 154 184 235
Scope2 5,398 5,399 5,484
5,552 5,583 5,719
  • ※注1:Scope1はガソリン由来のCO2排出量を表し、Scope2は電力由来のCO2排出量を表す。
  • ※注2:Scope1は社内で購入している燃料費データと各期間内のガソリン価格の平均値からガソリン使用量を推定し、排出係数を掛け合わせて算出。
    Scope2は電力消費量に排出係数(環境省が示す代替値)を掛け合わせたロケーションベースで算出。
  • ※注3:Scope2は消費電力量が取得できなかった一部の拠点を除いて算出。

今後は、当社のCO2排出量を削減するため、第一にScope2の削減活動を推進します。具体的には、LED照明や省エネ性能の高い空調設備の一層の導入などの省エネ施策を講じます。また、より精緻な算定を目指し算定範囲の拡大及びそれに伴う削減目標の設定を検討してまいります。